ソーシャルビジネスケース集

市民が主体的に公益を担う社会の実現を目指す

一般財団法人ちくご川コミュニティ財団

図1 ちくご川コミュニティ財団の理事メンバー(筑後川を背景に)

一般財団法人ちくご川コミュニティ財団1(以降、ちくご川コミュニティ財団と記載)は、2019年に福岡県で初めて、市民の力で設立されたコミュニティ財団である。九州最大の河川である「筑後川」が流れる佐賀県、福岡県、大分県、熊本県の4県の地域(以降、筑後川関係地域と記載)において、NPO等の公益活動に取り組む市民活動をサポートする中間支援組織2として、活動の幅を広げている。市民が主体的に公益を担う社会の実現を目指して、市民、行政、企業、教育機関等の連携の輪を広げ、筑後川関係地域で「人の役に立ちたい」という思いと活動をつなげるプラットフォームの役割を担っている。同財団がこれまでに支援を行った団体数は100団体、その助成金額は8,700万円を超える。
コミュニティ財団とは、地域社会が抱える様々な課題の解決や、市民の生活向上のために、個人や企業等から広く寄付金を募り、NPO等に助成を行う組織を指す。ちくご川コミュニティ財団は、財団に寄せられた寄付金、スキル、情報をもとに、筑後川関係地域で市民活動に取り組む方々に対して、資金に限らず様々な面から支援を行っている。
同財団は、2020年10月に、福岡県で初めて休眠預金活用事業の資金分配団体に採択された。2020年度休眠預金活用事業では、資金分配団体3として、困難を抱える子どもや若者の孤立解消と育成を目指し、筑後川流域で子どもを支援する団体に対して、資金の助成と伴走支援を実施している。また、2021年度休眠預金活用事業の資金分配団体にも採択され、不登校の子どもや若者をサポートする団体に対して支援を広げている。

 

図2 ちくご川コミュニティ財団の役割
出典:同財団ウェブサイト(https://c-comfund.com/about)2023年6月12日参照

1 代表者:宮原信孝、所在地:福岡県久留米市
2 行政と地域の間に立って、地域における様々な活動や連携を支援する組織。主に、資金、人材、物資、情報等の橋渡しや、市民団体間のネットワーク推進等を支援する役割を担う。
3 資金分配団体は、法第19条第2項第3 号ロにおいて「民間公益活動を行う団体に対し助成等を行う団体であって、助成等の実施に必要な資金について、指定活用団体から休眠預金等交付金に係る資金を原資とする助成又は貸付けを受けるもの」と定義される。

このケースは、株式会社ケース・ラーニングが、九州地域ソーシャルビジネス・コンソーシアムの監修のもと作成した。ケースの記述は、経営管理上の問題点を例示するものではない。本ケースの作成にあたっては、ちくご川コミュニティ財団の宮原信孝代表理事や庄田清人事業部長をはじめ、関係者の方々にご協力いただいたことに感謝したい。